このサイトは、医療関係者の方を対象に、国内の母子感染に関する診断と治療および研究結果等について情報提供することを目的に作成したものです。
一般の方への情報提供を目的としたものではありませんので、ご了承ください。
2025.04.08 webサイトを公開しました
日本医療研究開発機構(AMED)臨床研究・治験推進研究事業
先天性CMV感染児の遅発性難聴に抗サイトメガロウイルス薬(バルガンシクロビル)が有効かつ安全であるかを調べる目的の治験です。
現在、治験にご参加いただける患者さんを募集しております。
専門医師によるグループが行う医師主導治験です。
患者さんにとって安全で有効な標準的な治療を、医療者が安心して提供できるようにご協力をお願いいたします。
治験に参加する場合には、条件があります。このホームページでは、この治験に関する詳しい内容をご紹介しています。
先天性サイトメガロウイルス(CMV)感染症は、聴力障害、発達遅延などの重い後遺症を残す可能性がある母子感染症です。日本の年間総出生児の0.3%(3,000人/100万人)が先天性CMV感染を発症しており、その感染児の約15〜20%が出生時に何らかの臨床症状を有する症候性先天性CMV感染症です。その症候性先天性CMV感染症の約80%にその後、後遺症が生じており、本邦の小児に大きな疾病負荷を与えています。
症候性先天性CMV感染症に対し、我々は医師主導治験を行い、バルガンシクロビルの有効性と安全性の結果を持って令和5年(2023年)3月に抗CMV薬であるバルガンシクロビル経口液剤(バリキサ®ドライシロップ5000mg)が世界で初めて、症候性先天性CMV感染症の適応追加の薬事承認を得ました。
その一方、全先天性CMV感染児の約8割に存在する無症候性先天性CMV感染児のうち、約1割程度が遅発性難聴などの神経症状を呈しており、遅発性難聴などの症例に対しても治療適応の必要性が臨床現場から上がっています。本邦で症候性先天性CMV感染症の遅発性難聴の治療が安全に行える環境を作る必要があります。そこで、本邦における先天性CMV感染症の遅発性難聴に対するバルガンシクロビル経口液剤(ドライシロップ)の適応拡大を目指すこととしました。そのための開発計画として、今般、第Ⅱ相多施設共同プラセボ対照ランダム化並行群間比較試験を実施し、遅発性難聴に対する有効性および安全性を探索的に評価することとしました。
対象は、出生時は無症候性で生後21日以後に遅発性難聴を呈した先天性CMV感染児、または出生時に症候性であっても聴覚障害を認めておらず、その後に遅発性難聴を呈した先天性CMV感染児で、満4歳未満が対象になります。CMV以外の原因による難聴が明らかな場合や過去にCMV感染に対する抗ウイルス薬(ガンシクロビルまたはバルガンシクロビルなど)の治療を受けた場合などは対象となりません。
監督機関である医薬品医療機器総合機構と相談の上で、国立研究開発法人日本医療研究開発機構の支援を受けて、専門医師のグループが中心となり本治験を行います。