サイトメガロウイルス(CMV)はベータヘルペスに分類され、正式名称はヒトヘルペスウイルス5(HHV-5)である。CMVは様々な細胞・組織に感染することができるが、宿主域は狭くヒトCMVはヒトにのみ、マウスCMVはマウスのみにしか感染しない(図1・2)。感染細胞がフクロウの目(owl eye)の様に染色されるのが病理学的特徴である(図3・4)。
ヒトでは主に乳幼児期に感染し、ほとんどが不顕性感染の形で生涯に渡り潜伏感染する。感染経路として、母乳、小児の唾液や尿のほか、輸血や性行為による感染もみられる。一般的に、免疫健常な成人・小児では無症候性で、一部に単核球症などの症状を呈する。未熟児では敗血症様症候群などをきたすことがあり、移植後、HIV感染、免疫不全などの患者では様々な日和見感染症を起こす。先天性感染児では、後述する様々な症状や後遺症をきたしうる。
図1:CMV粒子(電顕)
図2:CMV pp65 抗原陽性多形核白血球
図3:CMV感染細胞(フクロウの目細胞)
図4:CMV感染細胞(フクロウの目細胞)